親の入院や介護が始まると、目の前の支払いをつい自分の財布から出してしまいがちです。数千円の日用品から始まり、気づけば施設費用まで子が払っている。よくある流れです。
この記事では、介護と医療の費用を「親のお金から払う」を原則にすべき理由と、そのために最初にやることをまとめました。カテゴリ「お金と制度」の考え方の土台になる話です。
介護は長く、総額が読めない
生命保険文化センターの2024年度調査では、介護期間の平均は4年7か月。4年を超えた人が約4割います。月々の介護費用の平均は9.0万円で、施設なら平均13.8万円です。
仮に月5万円を子が負担すると、5年で300万円。始まるときには、いつまで続くか誰にもわかりません。
子には子の住宅ローンと教育費と老後資金があります。子の家計が壊れると、親を支える体制ごと壊れます。
親のお金で払えば、使える制度がフルに効く
高額療養費も高額介護サービス費も、負担の上限は親本人の所得で決まります。年金だけの親なら上限は低く、払いすぎた分は戻ってきます。
施設の食費・部屋代を下げる負担限度額認定も、親本人の所得と資産で判定されます。親のお金で払う前提なら、こうした制度で支出そのものを小さくできます。
相続で揉める芽を残さない
子の誰かが立て替え続けると、あとで2つの問題が起きます。
- 立て替えた子が「返してほしい」と思っても、記録がなければ請求しにくい
- 逆に親の口座を管理していた子は、他の相続人から「使い込んだのでは」と疑われやすい
親の費用を親の口座から払い、記録を残す。これだけで、どちらの問題もほぼ防げます。
最初にやること3つ
- 親のお金の全体像をつかむ。年金の月額、預貯金のおおよその額、保険。親が元気なうちに聞けるのが理想です
- 親の口座から払える形を作る。施設や病院の支払いを親の口座からの引き落としにする。本人が動けないなら、代理で払い出せる仕組みを整えます
- 支出の記録と共有を始める。レシートと一覧。兄弟がいるなら最初から共有します
口座が凍結される前に備える方法は親が認知症になると口座が凍結される。その前にできる備えの記事に、認知症が進んでからの選択肢は成年後見制度の実際。費用・手続き・後見人にできることの記事に書いています。
子が払ったほうがいい場面もある
原則には例外もあります。子が払った医療費は、生計を一にしていれば子の医療費控除にできます。親の所得が低くて税金を払っていないなら、控除は子で使ったほうが世帯全体では得です。
親のお金が本当に足りない場面では、子が支えるしかありません。そのときは兄弟で分担を決め、無理のない額に線を引く。その話は介護費用は誰が払う?兄弟間の分担と記録の残し方の記事に書きました。
まとめ
介護と医療の費用は、親のお金から払うのが原則です。介護は長く総額が読めないこと、負担を軽くする制度が親本人の所得で判定されること、相続で揉める芽を残さないこと。この3つが理由です。
最初にやるのは、親のお金の全体像の把握、親の口座から払える形づくり、記録の共有。この3つだけでも、その後がだいぶ楽になるはずです。
出典(1件)
- 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」(2024年度 生命保険に関する全国実態調査。介護期間平均55.0か月=4年7か月・4年超約4割・月々の費用平均9.0万円・施設平均13.8万円/2026年9月確認)
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