介護の自己負担にも、医療の高額療養費にあたる払い戻しの仕組みがあります。月ごとの「高額介護サービス費」と、年ごとの「高額医療・高額介護合算」です。
どちらも申請しないと戻りません。ただ、一度申請すれば2回目からは自動で振り込まれます。
この記事では、2つの仕組みの上限額、対象になる費用とならない費用、申請のしかたをまとめました。
高額介護サービス費。月の上限
1か月の介護保険の自己負担(1〜3割の部分)が上限を超えると、超えた分が戻ります。上限は所得で決まります。
| 区分 | 月の上限(世帯) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上(年収約1,160万円〜) | 140,100円 |
| 課税所得380万〜690万円(年収約770万〜1,160万円) | 93,000円 |
| 住民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円 |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(年金収入等80万円以下の人は個人15,000円) |
| 生活保護の受給者 | 15,000円 |
親の多くがあてはまる一般的な世帯(課税・380万円未満)なら、介護保険の自己負担は月44,400円で頭打ちです。要介護5で目いっぱいサービスを使っても、1割負担の約36,000円は上限の中に収まります。効いてくるのは2〜3割負担の人や、世帯で複数人が使っている場合です。
施設の居住費・食費・日用品、住宅改修などは対象外です。対象は介護サービスの自己負担部分だけです。
該当すると市区町村から申請書が届くのが一般的です。最初の1回だけ申請すれば、以後は登録口座に自動で振り込まれます。時効は2年です。
高額医療・高額介護合算。年の上限
医療と介護の両方を使う世帯向けの、年単位(8月〜翌7月)の仕組みです。高額療養費と高額介護サービス費で戻した「あとの」自己負担を合算し、年間の上限を超えた分がさらに戻ります。
| 区分(70歳以上) | 年間の上限 |
|---|---|
| 年収約1,160万円〜 | 212万円 |
| 年収約770万〜1,160万円 | 141万円 |
| 年収約370万〜770万円 | 67万円 |
| 〜年収約370万円(一般) | 56万円 |
| 住民税非課税世帯 | 31万円 |
| 住民税非課税(年金収入80万円以下等) | 19万円(介護利用者が複数なら31万円) |
たとえば一般区分で、父の医療と母の介護が続いた年。それぞれの月の上限までは払っているので、年間では56万円を超えることがあります。その超えた分が戻る、二段構えの仕組みです。
申請先は、7月31日時点で加入している医療保険(75歳以上なら後期高齢者医療=市区町村)です。こちらも、該当すると案内が届く運用の保険者が多いです。ただ、年度途中で医療保険を移った場合などは案内が届かないことがあり、申請漏れが起きやすい制度です。心当たりの年があれば、2年までさかのぼって申請できます。
「戻る側」の全体像
自己負担を抑える仕組みの重なり
医療の側の仕組みは、高額療養費制度と限度額適用認定証。医療費の自己負担はここまで戻るの記事に書いたとおりです。これに施設の居住費・食費を下げる負担限度額認定を合わせると、公的な軽減はほぼ出揃います。それでも足りないときの話を、介護のお金が足りないとき。負担を減らす制度は段階的にあるの記事に書いています。
まとめ
介護の自己負担は月44,400円(一般世帯)で頭打ちになり、医療と合わせた年間の負担にも上限があります。
どちらも初回だけ申請が要ります。時効は2年。過去の分も取り戻せます。
この記事は2026年9月時点の制度で書いています。合算の上限額は、2026年8月の高額療養費の見直しに伴って今後変わる可能性があります。最新は加入先の保険者でご確認ください。
出典(2件)
- 厚生労働省作成資料 高額介護合算療養費制度・高額介護サービス費の概要(内閣府掲載)(合算の年間限度額212万・141万・67万・56万・31万・19万円、高額介護サービス費の所得段階別上限140,100円〜15,000円/2026年9月確認)
- 厚生労働省 介護保険制度(高額介護サービス費の仕組み・2021年8月からの負担上限見直し/2026年9月確認)
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