「うちは財産が少ないから揉めない」。ここに一つデータを置きます。家庭裁判所の遺産分割事件は、遺産総額5,000万円以下が約4分の3。1,000万円以下だけで約3分の1を占めます(司法統計)。
揉めるかどうかは額ではなく、家の形で決まります。この記事では、揉めやすい型と、生前からできる防ぎ方をまとめました。
揉めやすい5つの型
- 遺産が実家しかない。分けられない財産を複数人で分ける構図。住んでいる相続人と、お金でほしい相続人の利害が正面からぶつかります
- 介護の負担が偏っていた。「私がみてきたのに同じ割合はおかしい」。寄与分は認められにくく、感情のこじれに火が付きます
- 親の口座を1人が管理していた。「使い込んだのでは」の疑い。記録がないと晴らせません
- 再婚・前の結婚の子・音信不通の相続人がいる。連絡の段階から難しく、全員の合意が遠い型です
- 生前の援助に差があった。住宅資金や学費の援助(特別受益)をどう数えるかで対立します
共通するのは、お金の額ではなく「不公平感」が火種になっていることです。だから少額でも揉めます。
生前からできる防ぎ方
- 実家しかない家こそ遺言書。誰に何をと決めておくだけで、いちばん重い型が消えます。法務局保管なら3,900円で検認も不要です
- 介護と費用の記録を残す。誰が何を負担したかの一覧とレシート。介護費用は誰が払う?兄弟間の分担と記録の残し方の記事で書いた記録が、そのまま相続の防具です
- 親のお金は親の口座から払い、動きを共有する。管理役への疑いは、報告の仕組みで防ぎます
- 生前の援助は、親の口から全員に。「あの家だけ」と後から知るのが、いちばんこじれます
始まってしまったら
当事者同士の話し合いで感情が先に立つようになったら、間に人を入れる段階です。弁護士を入れる=裁判、ではありません。代理人を立てた交渉で収まる家も多いです。
それでもまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停へ。調停委員を挟んで話し合い、決まらなければ審判で裁判所が決めます。期限のない話し合いを何年も引きずるより、枠のある場に乗せるほうが早く終わることもあります。
まとめ
揉めごとの主戦場は5,000万円以下の普通の家。実家しかない・介護の偏り・口座管理の疑い・複雑な相続人・生前援助の差が5大要因です。
防ぎ方の芯は、遺言書と記録と共有。どれも、親が元気なうちの一手です。私もこの並びを、自分の親のことに置き換えて書いています。
出典(1件)
- 最高裁判所 司法統計(家事事件編)(遺産分割事件の認容・調停成立件数の遺産価額別内訳=1,000万円以下約3分の1・5,000万円以下で約4分の3/2026年9月確認)
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