相続人と遺産が固まり、分け方の合意ができたら、それを1枚の書面に残します。遺産分割協議書です。名前は堅いですが、中身は「誰が何を受け取るかの合意メモ」です。
法律で決まった書式はなく、パソコンでも手書きでも自分たちで作れます。この記事では、協議書に書くこと、無効にしないための要件、まとまらないときの道をまとめました。
そもそも必要か
遺言書があってそのとおり分けるなら、協議書は不要です。相続人が1人だけの場合も要りません。
それ以外で、預金の相続手続き・相続登記・相続税の申告をするなら、実務上ほぼ必須です。銀行や法務局が「全員が合意した証拠」として求めるからです。
書くことは4つ
- 誰が亡くなったか:氏名・死亡日・最後の住所と本籍
- 誰が相続人か:全員の氏名
- どの財産を誰が取得するか:預金は銀行名・支店・口座番号、不動産は登記事項証明書のとおりの表記で特定します
- あとから財産が見つかったときの扱い:「改めて協議する」か「誰が取得する」かを一文入れておくと、やり直しを防げます
そして相続人全員が署名し、実印を押し、全員分の印鑑証明書を付ける。これで銀行にも法務局にも通る形が整います。相続人の人数分作って各自1通ずつ保管するのが安全です。
無効・やり直しになる典型
- 相続人が1人でも欠けていた(協議自体が無効。戸籍での確定が先です)
- 財産の特定があいまい(「自宅は長男に」だけでは登記で詰まります)
- 認知症などで判断能力のない相続人がそのまま押印(成年後見人等が必要な場面です)
- 未成年の相続人と親が両方相続人(利益が相反するので、家庭裁判所で特別代理人を選びます)
まとまらないとき
話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停に進みます。調停委員を挟んだ話し合いで、それでも決まらなければ審判で裁判所が決めます。
調停まで行く前に、感情の整理として第三者(弁護士)を入れるだけで動き出す家も多いです。揉めやすい型と防ぎ方は、相続で揉めやすいのはどんな家か。よくある型と防ぎ方の記事に書いています。
まとめ
協議書は自分たちで作れます。中身は「誰が・どの財産を・取得するか」の特定と、全員の実印+印鑑証明。相続人の漏れと財産のあいまいさだけが、やり直しの原因です。
この1枚ができれば、銀行の払い戻しも相続登記も一気に進みます。
出典(2件)
- e-Gov法令検索 民法(906条〜907条 遺産の分割の基準・協議又は調停による分割/2026年9月確認)
- 裁判所 遺産分割調停(協議がまとまらない場合の調停・審判の手続き/2026年9月確認)
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