老齢厚生年金は原則65歳からですが、生まれた年によっては、その前に受け取れる年金があります。「特別支給の老齢厚生年金」です。60歳から65歳へ支給開始を引き上げる途中の、経過措置として設けられました。対象は男性が昭和36年4月1日以前、女性が昭和41年4月1日以前に生まれた人。放っておいても振り込まれず、自分で請求する必要があるのが最大の注意点です。ここでは、誰が・何歳から・いくつの条件でもらえるのかを整理します。2026年7月時点の内容です。
特別支給の老齢厚生年金とは
かつて厚生年金は60歳から受け取れました。これを65歳開始に引き上げる際、いきなり5年遅らせると影響が大きいため、生年月日に応じて少しずつ支給開始を遅らせる経過措置が設けられました。これが特別支給の老齢厚生年金です。
引き上げはすでに最終段階に入っていて、今の対象は「報酬比例部分」と呼ばれる、厚生年金の加入実績に応じた部分だけです。かつてあった「定額部分」の特別支給は、対象となる世代がすでに終わっています。
受け取るための3つの条件
② 厚生年金の加入:厚生年金保険などに1年以上加入していたこと。
③ 資格期間:老齢基礎年金の受給資格期間(保険料を納めた期間などの合計で10年)を満たすこと。
この3つを満たし、かつ生年月日で決まる受給開始年齢に達すると、65歳を待たずに受け取れます。
何歳からもらえる? 生年月日別の早見表
報酬比例部分の支給開始年齢は、生年月日で次のように分かれます。女性は男性より5年遅いスケジュールです(会社員などの第1号厚生年金の場合)。
※「S」は昭和。上の表は会社員などの第1号厚生年金被保険者の場合です。公務員(共済)だった期間がある人は、女性も男性と同じスケジュールになるなど扱いが異なります。自分の区分はねんきん定期便や年金事務所でご確認ください。
男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降に生まれた人には、特別支給はありません。この世代は原則どおり65歳から老齢厚生年金を受け取ります。
請求しないともらえない
特別支給は、受給開始年齢が近づくと日本年金機構から年金請求書が事前に送られてきます。ただし、書類が届いても自分で請求手続きをしないと支給は始まりません。手続きを忘れたまま放置すると、受け取れるはずの年金が振り込まれないままになります。
年金は請求できるようになった時から5年を過ぎると、古い分から時効で受け取れなくなります。案内が届いたら早めに手続きするのが安心です。
請求のおおまかな流れは次のとおりです。
働きながら受け取るとき
特別支給を受けながら会社勤めを続ける場合、給与と年金の合計額によっては年金の一部が止まることがあります(在職老齢年金)。この判定基準は、2022年4月から65歳以降と同じ基準に統一されました。また、雇用保険の基本手当(失業給付)や高年齢雇用継続給付を受けると、特別支給が一部または全部止まる調整もあります。働きながら受け取る予定の人は、この点も合わせて確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 自分が対象かどうか、どこで分かりますか?
ねんきん定期便やねんきんネットで、受給開始年齢や見込み額を確認できます。対象なら、受給開始年齢の少し前に請求書が届きます。
Q. 特別支給をもらうと、65歳からの年金は減りますか?
減りません。特別支給は65歳前だけのもので、65歳になると本来の老齢基礎年金・老齢厚生年金に切り替わります。
※本記事は2026年7月時点の制度にもとづく一般的な解説です。生年月日区分や加入歴によって扱いが変わります。実際の受給開始年齢・手続きは、日本年金機構や年金事務所の最新情報でご確認ください。(執筆:さちこ)
