入るときには考えたくないことですが、施設から退去を求められる場合があります。どんなときにそうなるのかは、契約書に書かれています。
入る前に知っておけば、施設選びの目が変わり、いざ言われたときにも落ち着いて対応できます。
この記事では、退去を求められる典型的な場合、施設の種類による違い、言われたときの対応をまとめました。
退去を求められる典型的な場合
契約書や重要事項説明書に「契約解除の条件」として書かれているのは、おおむね次の5つです。
- 医療的なケアが常時必要になった。たんの吸引や経管栄養など、施設の体制で対応できない状態
- 入院が長引いた。「3か月を超える入院で契約終了」などの定めがある施設
- 利用料の滞納が続いた
- 他の入居者や職員への危害が続き、共同生活が難しい
- 施設の廃止・事業撤退
多いのは上の2つです。見学のときに「どういう状態になったら退去ですか」「入院したら何か月まで待ってもらえますか」を聞いておくのは、このためです。
施設の種類で、起きやすさが違う
特養などの介護保険施設は、正当な理由のない退去はできない建て付けです。看取りまで対応する施設も多く、退去の話は起きにくい側です。
民間の有料老人ホームやサ高住は、対応できる医療の範囲が施設ごとに大きく違います。「終の住処のつもりで入ったのに、状態が重くなって住み替え」が起きやすいのはこちら側です。
老健は性格が違います。在宅復帰を目指す施設なので、状態が安定すると退所の相談があるのが本来の姿です。これは「追い出し」ではなく制度の建て付けで、次の行き先を施設の相談員と一緒に組みます。
言われたときの対応
退去を求められたときの順番
- その場で承諾しない。理由と根拠(契約書のどの条項か)を書面でもらう
- 猶予期間と、次の行き先探しへの協力を確認する(協力義務を定めた契約が多い)
- ケアマネジャー・地域包括支援センターに相談する
- 納得できなければ、市区町村の介護保険課や、都道府県の有料老人ホーム担当窓口に相談する
契約書に無い理由での退去要求や、極端に短い期限は、そのまま受ける必要はありません。書面を持って外の窓口に相談します。
一方で、医療体制の限界による退去は、施設を責めても解決しません。その場合は争うより、対応できる次の場所(療養病床、介護医療院、医療対応の強い施設)へ早く動くほうが本人を守れます。行き先の考え方は退院後の行き先はどう決まる?自宅・転院・施設の分かれ道の記事と同じです。
入居直後なら、90日ルールがある
入居から3か月以内に契約が終わる場合は、前払金から利用分などを差し引いた額が返還されます。申し込みから入居まで。介護施設に入るまでの流れの記事に書いた仕組みです。
「入ってすぐ合わずに退去」でも、前払金の大半は守られます。早い段階の住み替えをためらう理由は、お金の面では小さいです。
まとめ
退去の条件は契約書に書かれていて、多いのは医療対応の限界と長期入院です。入る前に、この2つへの答えを聞いておきます。
言われたら、書面で理由をもらい、外の窓口に相談。医療体制の限界なら、争うより次の場所へ動きます。
この記事は2026年9月時点の制度で書いています。契約解除の条件は施設ごとの契約によります。
出典(2件)
- 老人福祉法 第29条(有料老人ホームの届出・前払金返還の仕組み/2026年9月確認)
- 内閣官房ほか 高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(令和6年6月)(介護保険施設等は正当な理由なくサービス提供を拒否できないとの整理/2026年9月確認)
READ NEXTあわせて読みたい




