費用を抑えて長く入れる特別養護老人ホーム(特養)は、「何年も待つ」と言われがちです。
ただ、待機の数はこの数年で減っていて、順番の決まり方にも仕組みがあります。知っていれば、待ち方が変わります。
この記事では、特養に入れる人の条件、待機の実情、入所の順番が決まる仕組み、申し込みの実務をまとめました。
入れるのは原則、要介護3以上
特養の新規入所は、2015年から原則要介護3以上に限られています。
要介護1・2でも、特例入所の対象になる場合があります。認知症で在宅生活が難しい、家族による虐待のおそれがある、単身で支援が受けられない、などの事情がある場合です。あてはまりそうなら、施設か市区町村に相談します。
待機の実情。全国で20.6万人
厚生労働省の調査では、特養への入所申込者(要介護3以上)は全国で20.6万人です(令和7年度調査)。前回の令和4年度調査の25.3万人から、4.7万人減っています。
うち、在宅で待っている人は8.6万人です。残りは老健や病院など、どこかに身を置きながらの申し込みです。
「何年待ち」は地域と施設でまったく違います。都市部のユニット型は長く、地方や多床室は早い傾向があります。同じ市内でも施設によって差があるので、待機の長さは候補の施設に直接聞くのが確実です。
順番は「申込順」ではない
特養の入所は、先に申し込んだ人からではなく、必要度の高い人からです。各施設の入所判定委員会が、要介護度、介護者の状況、住まいの状況などを点数化して順番を決めます。
だから、こういうことが起きます。
- あとから申し込んだ、より重い人が先に入る
- 状態が変わったことを伝えると、順番が前に動く
- 「いま何番目です」の番号が、そのまま待ち時間を意味しない
要介護度が上がった、介護している家族が倒れた、といった変化は、必ず施設に連絡します。判定の材料が変わるからです。黙っていると、古い情報のまま順番が付き続けます。
申し込みの実務
- 複数の施設に申し込めます。費用はかかりません。現実的に通える範囲で2〜4か所が扱いやすい数です
- 申込書は施設ごと。ケアマネジャーに相談すると、書類の準備から手伝ってくれます
- 入院中・老健からでも申し込めます。退院や退所の見通しと合わせて、医療ソーシャルワーカーや施設の相談員が段取りします
声がかかったときに「まだいいです」と断り続けると、施設によっては順番の扱いが変わることがあります。入る時期の希望は、申し込みの時点でそのまま伝えておきます。
待っている間の組み立て
待機の間を在宅だけで支えるのは、家族の消耗が大きいです。使えるものを組み合わせます。
- 老健。リハビリをしながら特養の声がかかるのを待つ形は、実務でよくあります
- ショートステイ。連続利用で家族の休息をつくる
- 民間施設にいったん入り、特養に移る
どの組み合わせが現実的かは、ケアマネジャーと詰めます。施設の種類ごとの性格は、介護施設の種類は6つ。特養・老健・有料・サ高住の違い早見の記事に書いたとおりです。
まとめ
特養は原則要介護3以上で、待機は全国20.6万人。ただし順番は申込順でなく必要度順で、地域差が大きいです。
複数申込み、状態変化の連絡、待つ間の老健やショートステイ。この3つが実務の柱です。
この記事は2026年9月時点の制度と調査結果で書いています。
出典(2件)
- 厚生労働省 老人保健健康増進等事業 特別養護老人ホームの入所申込者の実態把握に関する調査研究報告書(令和8年3月)(要介護3以上の入所申込者20.6万人・うち在宅8.6万人、令和4年度25.3万人からの減少/2026年9月確認)
- 厚生労働省 特別養護老人ホームの入所申込者に関する調査・指針(新規入所は原則要介護3以上、要介護1・2の特例入所の考え方、入所判定委員会による優先度評価/2026年9月確認)
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