相続放棄と限定承認。3か月の期限と判断のしかた

相続放棄と限定承認。3か月の期限と判断のしかた 相続

親に借金があるかもしれない。そう思ったら、相続の中でいちばん短い期限が動き出します。相続放棄は、相続の開始を知ったときから3か月以内(民法915条)です。

この記事では、放棄すべきかの判断のしかた、家庭裁判所での手続き、その前にやってはいけないことをまとめました。手続きそのものは、思っているよりずっと簡素です。

3つの選択と判断の目安

選択中身向く場面
単純承認財産も借金も全部引き継ぐ(何もしなければ自動的にこれ)借金がない・少ない普通の相続
相続放棄最初から相続人でなかったことになる。財産も借金も受け取らない借金が明らかに多い
限定承認プラスの財産の範囲でだけ借金を返す借金の全体が読めないが、残したい財産がある
限定承認は相続人全員で共同して行う必要があります(民法923条)

判断材料は、遺産はどうやって調べる?預金・不動産・借金の探し方の記事で書いた遺産調べです。信用情報3機関への開示請求と督促状の確認で借金の輪郭をつかみ、プラスの財産と見比べます。

3か月で調べ切れないときは、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられます。「間に合わないから諦めて相続」ではなく、伸ばす道があると覚えておいてください。

相続放棄の手続き。思ったより簡素

  • 申立先:亡くなった親の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 費用:収入印紙800円+連絡用の郵便切手
  • 書類:相続放棄の申述書、親の住民票除票か戸籍附票、自分の戸籍謄本など
  • 流れ:申述→裁判所からの照会書に回答→受理。受理されたら「相続放棄申述受理通知書」が届き、債権者にはこれを示します

書式と記載例は裁判所サイトにあり、争いがなければ自分でできる手続きです。1人からでもできます(放棄すると次順位の人=親の兄弟などに相続権が移るので、そちらへの連絡は忘れずに)。

やってはいけないこと

  • 遺品や預金に手を付けない。相続財産を処分すると単純承認とみなされ、放棄できなくなるおそれがあります(民法921条)。片付けも売却も、放棄の判断が先です
  • 借金の一部を「とりあえず」返さない。承認とみなされる行動です
  • 期限を過ぎてから慌てない。督促で初めて借金を知った場合など、知ったときからの起算で受理される余地があるので、諦める前に弁護士・司法書士に相談を

なお、受取人が指定された死亡保険金は相続財産ではないので、放棄しても受け取れます。葬祭費や遺族年金も同様です。放棄=何も受け取れない、ではありません。

まとめ

借金の気配があったら、片付けの手を止めて遺産調べから。放棄は家裁に3か月以内、費用は印紙800円、調べ切れなければ期間伸長。

保険金や遺族年金は放棄しても受け取れます。怖がりすぎず、ただし財産には手を付けず、順番どおりに進めてください。

出典(2件)
  • e-Gov法令検索 民法(915条 3か月以内・家庭裁判所で伸長可、921条 法定単純承認、923条 限定承認は全員共同/2026年9月確認)
  • 裁判所 相続の放棄の申述(申立先=被相続人の最後の住所地の家庭裁判所・収入印紙800円・必要書類/2026年9月確認)

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さちこ

初めての手続きは、誰でも戸惑います。私自身がそのときに慌てないよう調べたことを、手引きの形で残しています。元地方公務員・FP2級。

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