年金は何歳からもらう?繰上げ・繰下げ受給の損得【0.4%と0.7%】

年金・老後

老齢年金は原則65歳から受け取れますが、受け取りはじめる時期を自分で選べます。早める「繰上げ」、遅らせる「繰下げ」です。早めれば毎月の額は減り、遅らせれば増えます。どちらが向くかは、働き方や健康、貯えによって変わります。ここでは減額・増額のしくみと、選ぶときの考え方を整理します。2026年6月時点の内容です。

原則
受給開始
65歳
繰上げ(早める)
1月あたり
0.4%減
繰下げ(遅らせる)
1月あたり
0.7%増
選べる範囲
60〜
75歳

繰上げ受給(60〜64歳)

65歳より早く、最も早くて60歳から受け取りはじめられます。そのかわり、1か月早めるごとに0.4%減額され、その額が一生続きます。60歳ちょうどから受け取ると、0.4%×60か月=24%の減額です。

繰上げの注意点
・いったん繰り上げると取り消せません
・繰上げ後は、原則として障害年金を新たに請求できなくなるなどの制限があります。
・基礎年金と厚生年金はセットで繰り上げるのが基本です。

繰下げ受給(66〜75歳)

65歳で受け取らず、遅らせるほど毎月の額が増えます。1か月遅らせるごとに0.7%増え、その額が一生続きます。上限の75歳まで遅らせると、0.7%×120か月=84%の増額です。長生きするほど、受け取る総額では有利になりやすい設計です。

60歳まで繰上げ24%減
65歳(原則)±0
70歳まで繰下げ42%増
75歳まで繰下げ84%増

どう選ぶ? 考え方の目安

「何歳が正解」と決まるものではありません。判断材料を並べると、次のようになります。自分の状況に当てはめて考えてみてください。

繰上げが選択肢になる人:早期に現金が必要、健康に不安がある、など。減額が一生続く点は要確認。
繰下げが選択肢になる人:65歳以降も働く・他に収入がある、長生きに備えたい、など。増えた額が一生続くのが魅力。

繰下げは「何年で取り戻せる」?

繰下げで毎月の額が増えても、その間は年金を受け取らないので、最初のうちは「もらわなかった分」が先行します。増えた年金がその分を取り戻すまでの目安は、受給を始めてからおおよそ11〜12年後とされます。つまり、長生きするほど繰下げが有利になりやすい、という関係です。あくまで目安で、税・社会保険料の影響もあるため、自分の状況で考えてみてください。

働きながら受け取るときの注意

在職老齢年金 65歳以降も会社員として働く場合、給与と老齢厚生年金の合計が一定額を超えると、厚生年金の一部が支給停止になることがあります(基礎年金は対象外)。繰下げを考えるときは、この点も合わせて年金事務所で確認すると安心です。

繰下げは「あとから選べる」柔軟さがある

繰下げの利点は、65歳の時点で決め切らなくてよいことです。請求せずにおいて、必要になったときに「繰下げて増額した年金を受け取る」か、「65歳時点にさかのぼって、増額なしでまとめて受け取る」かを、その時の状況を見て選べます。健康や家計の状況が変わっても対応しやすいしくみです。

よくある質問

Q. 基礎年金と厚生年金で別々に選べる?
繰下げは、基礎年金と厚生年金を別々のタイミングにできます。繰上げは原則セットです。

Q. 繰下げ待機中に亡くなったら?
繰下げ前の本来の年金額をもとに、未払い分が遺族に支払われる扱いになります(繰下げによる増額は反映されない場合があります)。

Q. 働きながら繰下げできる?
できます。65歳以降も働いて収入があるなら、その間は年金を受け取らず繰り下げる、という選び方もあります。

Q. 一度決めたら変えられない?
繰上げは取り消せません。繰下げは、待っている間に「やっぱり65歳時点から受け取る(増額なし)」へ切り替えることも選べます。

Q. 税金や保険料はどうなる?
年金額が増えると、その分、税金や社会保険料が増えることもあります。手取りで考えると、額面ほどの差にならない場合がある点は意識しておくとよいです。

Q. 繰下げ待機中に遺族年金などが出たら?
他の年金を受け取れるようになると、その時点で繰下げによる増額が止まる(打ち切られる)ことがあります。事情が変わったら年金事務所に相談を。

※本記事は2026年6月時点の制度にもとづきます。減額・増額率や上限年齢は改正されることがあり、有利・不利は個々の状況で変わります。請求の際は、日本年金機構・年金事務所の最新情報でご確認ください。
(執筆:さちこ)

参考(公式・一次情報)

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