実家のお墓を継ぐ人がいない。遠くて通えない。そう考えて、お墓を閉じて遺骨を移す「墓じまい(改葬)」を選ぶ家は増え続けています。2023年度の改葬は全国で166,886件。この10年で件数は大きく増えています。
この記事では、墓じまいの手続きの流れ、費用の内訳、つまずきやすい場所をまとめました。思い立ってから完了まで、数か月単位の話として読んでください。
墓じまいは「許可のいる引っ越し」
遺骨を別の場所へ移すことを法律では改葬と呼び、いまのお墓がある市区町村長の許可(改葬許可証)が必要です(墓地埋葬法5条)。勝手に取り出して移すことはできません。
1
親族と話す:お墓は家族全員の気持ちが関わる場所。ここを飛ばすのがいちばん揉めます
2
移し先を決める:永代供養墓・納骨堂・樹木葬など。受入証明書(永代供養許可証等)をもらう
3
いまの墓地の管理者に伝える:埋蔵証明をもらう。お寺なら離檀の話もここで
4
改葬許可を申請:いまのお墓の市区町村へ。受入証明と埋蔵証明を添えて改葬許可証をもらう
5
取り出し・撤去・納骨:閉眼供養→石材店が遺骨を取り出し墓石を撤去・区画を更地に→移し先で納骨
書類は「受入証明」「埋蔵証明」「改葬許可申請書」の3点セットと覚えておけば、順番を間違えません。様式と必要書類は市区町村で少しずつ違うので、申請前に窓口かサイトで確認します。
費用の内訳
- 墓石の撤去・区画の原状回復:費用の本体。区画の広さと重機が入れるかで大きく変わるため、石材店の現地見積もりで決まります。複数見積もりが基本ですが、墓地によっては石材店が指定されていることがあります
- 閉眼供養のお布施:お寺に読経を頼む場合
- 離檀料:檀家をやめる際にお寺へ渡すお金。法律上の定めはなく、金額に決まりもありません
- 移し先の費用:永代供養料・納骨堂の使用料など。移し先の型で大きく変わります
- 改葬許可の手数料:無料〜数百円程度の自治体が多い部分です
つまずきやすい場所は2つ
- 親族への相談を後回しにする。お墓を閉じたあとに知った親族との関係は、修復がききにくいものです。決める前に一声が原則です
- 高額な離檀料を求められて話が止まる。長年供養してもらった感謝を伝えたうえで、金額に納得できなければ、その場で払うと約束しないこと。まとまらないときは消費生活センター(188)や弁護士に相談できます
お寺との話は「事後報告」でなく「相談」の形で始めるだけで、こじれる確率がだいぶ下がります。
まとめ
墓じまいは、親族との相談→移し先→埋蔵証明→改葬許可→撤去・納骨の順。書類は受入証明・埋蔵証明・改葬許可申請書の3点セットです。
費用の本体は墓石の撤去で、現地見積もりでしか決まりません。年16万件を超える、ごく普通の選択です。後ろめたさを感じる必要はありません。
出典(2件)
- e-Gov法令検索 墓地、埋葬等に関する法律(5条 改葬は市町村長の許可を受けなければならない/2026年9月確認)
- 厚生労働省 令和5年度衛生行政報告例 第6表(e-Stat)(2023年度の改葬件数は全国166,886件/2026年9月確認)
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