賃貸住まいの親が亡くなったとき、部屋の契約はどうなるのか。放っておくと家賃は止まらないのか。片付けの前に、まずここが気になるところです。
結論として、契約は自動では終わりません。相続人が解約するまで、家賃は発生し続けます。
この記事では、誰が解約できるか、退去までの段取り、敷金と原状回復の考え方をまとめました。
契約は相続される。だから解約も相続人がやる
賃貸借契約の借主の地位は、亡くなった時点で相続人に引き継がれます(民法896条)。つまり借主は自動的に相続人に変わり、家賃を払う義務も引き継がれます。
解約の申し入れができるのも相続人です。相続人が複数いる場合は、代表して動く人を決め、他の相続人の了解を取ってから解約するのが安全です。
相続放棄を考えているなら、解約も荷物の処分もいったん止めてください。相続財産の処分にあたる行動を取ると、放棄できなくなるおそれがあります(民法921条)。この場合は先に専門家か家庭裁判所に相談します。
退去までの段取り
- 大家さんか管理会社に連絡。亡くなった事実と、解約の意向を伝えます。解約予告は「1か月前まで」などと契約書に書いてあるので、日程はここから逆算します
- 契約書を探す。解約予告の期間・敷金の額・特約を確認します
- 荷物の運び出し。貴重品と書類を確保してから、残りを片付けます。量が多ければ遺品整理の費用相場と見積もりの取り方の記事の手順で見積もりへ
- 立ち会いと明け渡し。鍵を返して、敷金の精算を待ちます
家賃は明け渡しまで発生するので、片付けの期限は家賃とのバランスで決まります。1か月早く明け渡せれば、その分の家賃が浮く計算です。
原状回復。全部を負担する必要はない
退去時の修繕費でよく揉めますが、国土交通省のガイドラインに基本の線があります。
| 費用 | 負担 |
|---|---|
| 経年変化・普通に暮らしてできた傷み(日焼けした壁紙、家具の設置跡など) | 大家さん側 |
| 故意・不注意・手入れ不足による傷み(結露を放置したカビ、破損など) | 借主側(相続人) |
長く住んだ部屋ほど経年変化の割合が大きく、借主側の負担は小さくなる方向で考えます。「全面リフォーム代を請求された」ような場合は、そのまま払わずガイドラインを根拠に交渉できます。消費者ホットライン188にも相談できます。
敷金は、借主負担分を差し引いた残りが返ってくるお金です。精算書の内訳は必ず確認します。
まとめ
賃貸の契約は相続され、解約するまで家賃が発生します。相続放棄の可能性がなければ、早めに管理会社へ連絡し、解約予告の期間から逆算して片付けを組みます。
原状回復は経年変化まで負担する必要はありません。ガイドラインの線を知っているだけで、精算の交渉は変わります。
出典(2件)
- e-Gov法令検索 民法(896条 相続人は被相続人の一切の権利義務を承継、921条 法定単純承認/2026年9月確認)
- 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(経年変化・通常損耗は貸主負担、故意・過失等は借主負担の基本原則/2026年9月確認)
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